小説【Schwarz Schneide

哀れなる魂たちの幻想曲 1



 アストローナの世界中を血管の様に走る街道。その一部であるエルヘブンとフィーズンの間に5人はいた。青空はいつの間にか赤く染まり始め、東からは薄暗い闇が訪れようとしている。
 明るいうちに一度終え、今日もう一度訪れるであろうモンスターとの戦闘に備えて、早めの夕食を楽しんでいる時であった。
「ねぇラクウェルさん、この前言ってた話聞きたいな〜」
 即席で作ったスープをかき混ぜながら、ミステールが言った。
「えっ、何の話かしら?」
 妹に話しかけるような優しい笑顔で、ラクウェルは返した。その表情にはとぼけた様子も何かを隠している様子も無く、ただ単純に言葉を出しているだけの様だった。その話の心当たりのあるレヴリスが重ねて言う。
「ほら、僕達が合流した時に、ラクウェルさんがすごく興味深い話してたじゃないですか。魔道図書館で奇妙な事があったとか…」
「あぁ、その話ね。…今話しても良いのかしら?」
 きょろきょろと辺りを見まわすラクウェルに、すぐ横で兎肉を切り分けるミリアが頷く。
「さっき偵察をしてきたが、この近くには他のパーティーがいる様子は無い。もし人に聞かれて困るような話をするとしたら、今が最適だろう」
「そうだな、これからもう一度戦闘がある。その余興にはいいかもしれぬな」
 含み笑いを見せるエフィは、器用にも食事をとりながら剣の手入れをしている。やや考えて、ラクウェルは小声で話し出した。